コパオ(Kopao)の伝説、それはメアカンブット(Meakambut)誕生の秘密だった。
ある日大地の精霊「アピ(Api)」がこの地にやってきたとき、そこには人はいなかった。
森にはブタ、川には大量の魚、そしてサゴヤシもあちこちに育っていた。
ここは人が住むのにいい場所だ、そう考えたアピは洞窟の岩をこじ開けた。
そこからあらわれたのがメアカンブットだった。
彼らは豊富な動物を狩りながら、何不自由なく楽しく穏やかな生活を送っていた。
そのころ男と女はそれぞれ別々の洞窟で生活していたが、ある日ひとりの男がこっそりと女の洞窟へ行き、女と交わった。
その男が戻るといつもと様子が違う。
ある者には嫉妬心、ある者には憎しみという感情が生まれたのだ。
人間が悪を知ってしまった瞬間だった。
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翌朝ジョンに会うとどうも様子がおかしい。
すっかりふさぎこんで、髪飾りなどいつものおしゃれが見当たらない。
聞くと、昨晩コパオの精霊が夢でジョンにこう告げたのだという。
「おまえは神聖な場所に白人を連れてきて、秘密を聞かせていたな。あれはメアカンブットだけのものだ。白人なんぞに聞かせてはいけなかった。」
夢の中では洞窟の頭蓋骨がうつろな眼窩を赤く光らせて怒っていた。
ここパプアニューギニアでは今でも呪術が広く信じられている。
村の若者が死んだのは隣村の村長が呪いをかけたからだ、殺してしまえ。
そのような争いはよくあることだ。
実は数日前にメアカンブットの娘が肺炎にかかり、村を下りた診療所で治療を受けていた。
もし娘が死んだら、洞窟に入った彼らは間違いなく責められる。
つまり、ここを去らなければ命があぶないのだ。
- ジョンが語った秘密。それはメアカンブットの誕生の話だった。
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