メアカンブット(Meakambut)の若者2人は取材班に抵抗を感じている様子がなく友好的だった。
彼らはジョンとマークというクリスチャンネームを持っていた。
かつて村から離れ聖書学校に通ったメアカンブットの1人が彼らに洗礼を施したのだという。
翌朝「ウラプングナ(Ulapunguna)」という洞窟まで案内してくれることとなった。
入り口の高さが12メートルほどのその洞窟の地面には炉穴があり、壁には野ブタ狩猟用の矢が並んでいた。
彼らはこの洞窟で数日か数週間を過ごして別の洞窟へ移動する、という生活を続けている。
女と子供はタロイモ、キュウリ、キャッサバ、タバコなどを植え、次に来るときに収穫するのだ。
翌朝案内してくれた洞窟は「コパオ(Kopao)」。
メアカンブット発祥の地とも言われる聖なる洞窟だ。
洞窟にたどり着くためにはまず垂直に切り立った山壁を登らないといけない。
木のつるを頼りに約300メートルの岩肌を登るのにかかった時間は2時間以上。過酷だ。
洞窟に入ると目に飛び込んできたのは頭蓋骨。
ジョンの祖先の頭蓋骨だった。
奥に入ると壁に赤や黄の手形があった。
ジョンの祖先の手形だというが、メアカンブットは時間を記録しないためいつごろのものなのかは誰にもわからない。
さらに奥、天井に20センチほどの割れ目がある場所へ案内された。
すると、ジョンが急に厳かな表情になり話し始めた。
「これからコパオの伝説を話すが、語り終えたらすぐに全員が一言も発することなく洞窟を去らなければならない」
- 手形は粘土から作った顔料で着色されているが一部の赤色は血の色だ。
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